病床数200床以上、精神科を主体とした診療を行っている医療法人N。課題の背景投資金額に見合った収益が上げられるかどうか、資金繰りに悪影響を及ぼさないかなど、適切な投資の意思決定を行い、正しい方向に導いていきたい経営幹部の財務に対する意識向上や経営管理の強化を図りたい管理職に経営に対する意識を醸成させ、自律的・主体的に動いてもらいたい経営判断の軸が不明確で、明確な予測が困難な状態だった病院の経営状況は悪くありませんでしたが、借入金返済の負担が重く、今よりも利益を出していく必要がありました。しかし、経営幹部の財務機能は脆弱であり、資金繰り管理が未熟でした。また、経営課題に対して、改善策を検討したり、提案したりということがなく、現場の中でも管理職クラスの職員は受け身の状態でした。財務状況から課題を共有、改善点の整理毎月の理事会での取り組みとして、試算表と施設別の損益計算書、部門別原価計算等の財務指標を整備し、正しい財務状況を把握できる仕組みを構築しました。特に各病棟の利益状況を踏まえた病棟再編、精神科デイケアの方向性検討に繋がりました。業績向上を目指し、各部門の方に自分事として主体性をもって仕事をしていただくために、各部門の目標を立て、定期的に振り返りを行いました。また、各部門の財務指標や診療に関する指標をを整備し、正しい数字から経営状況を把握出来るようにしました。経営に対する意識付け、定着化を行うため、理事長と経営幹部とのミーティング、課題のある部門に対してヒアリング、課題点や改善点を整理しました。職員のパフォーマンス向上に繋がる人事評価を導入職員が、病院全体の業績やあり方について関心を持ち、自分事と捉えてもらうためには、そのための仕組み作りも大切です。一人ひとりのパフォーマンスや役割、責任の遂行度によって処遇が決まる制度を導入し、人件費を管理しました。頑張りがどのような形で報われるのか、キャリアアップの仕組みを整備することで、職員がモチベーションを維持しながら取り組むことができました。データを可視化し共有することで、利益を得る施策を考える手助けになったさまざまな経営指標のデータから、課題点が見えてくるため、一人一人が改善策を考えるきっかけとなりました。また、今年必要な利益を算出して具体的な目標設定が出来ました。そのための仕組みを作っていくことは大変でしたが、毎年各部門で行動計画を立て、自部門で計画を推進していくことが出来るようになりました。