精神科病床数250床の医療法人S。精神科訪問看護やデイケア・ショートケア、作業療法も実施しており、地域の患者様に在宅支援・ケアを提供している。課題の背景人事評価制度全体が複雑化でわかりにくく、適切に実施できていない人事評価を通じて、職員の意識改革を図りたい人件費の増加が著しく、コントロールに活きる賃金制度になっていない職能資格制度で設計されており、能力評価・情意評価・成績評価など、体系が複雑化していました。また、人件費をコントロールに活きる賃金制度になっていませんでした。組織の内部では、人事評価の改善の必要性を感じているものの、それぞれの立場や役割の違いによって意見が言いにくい状態でした。また、伝えるべき情報はあるものの、誰が何を伝えるべきかについて共通認識が持てず、プロジェクトがうまく進みませんでした。ヒアリング&職員アンケートの実施まずは、理事長、事務長、看護部長、所属長と多くのヒアリングを実施しました。現状の課題や要望について、具体的に把握し、期待人材像の把握と合意形成を進めました。人事制度を効果的に機能させるための3つの構築病院の理念・ビジョン・戦略に基づき、階層別の役割や貢献の基準、処遇の違いを明確にしたシンプルな人事制度の構築を進めました。等級制度の構築理念・ビジョンに基づき、職員が果たすべき役割を明確に設定等級制度を人事制度の軸に人事評価制度や賃金・賞与制度を設計人事評価制度の構築等級ごとの役割に応じた評価項目・評価基準を設計組織人としての行動は行動評価で評価する戦略を実現するための病院目標を目標達成評価に落とし込む貢献度の高い人材を引き上げるための特別加算項目を設定賃金・賞与制度の見直し昇給のインパクトを大きく設定役割の大きさによる処遇の差を明確にする人事評価の結果は賞与に反映する運用の効果を高めるための役職者の育成を実施人事制度の設計段階から、役職者の育成を並行して行いました。評価者向けに、評価ルールを浸透させたり、ケーススタディを通じた評価練習などを行い、制度の理解を深めました。理念・ビジョン・戦略遂行に繋がる制度を構築することができた能力や職務だけでなく、役割や期待人材像(仕事を通じてどのように育てるのか)を明確にして設計したことで、法人や職員にとってプラスに働きかける仕組みができ、理念・戦略に沿った制度を構築することができました。人事制度構築から風通しの良い組織へと改善人事制度は、組織風土に大きく影響を及ぼします。一度できてしまった組織風土を改革するのは、並大抵のことではありませんが、制度の改定に向けて、現場の理解と合意を得ながら進めたことで、組織の全員が共通認識を持つことができました。また、目指すべき理念・ビジョンを軸に階層ごとの役割を明確にすることで、法人が求めている人材像を把握することができ、職員の成長を促すきっかけとなりました。